当院では、ヘリカルCTによる画像検査を積極的に施行しております。ヘリカルCTが患者さまにとって有用な診断および治療方針の決定に有力な情報が多く得られると思われます。 しかし他の画像検査(MRI,PET等)に対して、よりヘリカルCTの方が有力な情報が得られるのは、以下の3点であると考えられます。
これらの臓器由来の悪性腫瘍は、肝臓がん、胆のうがん、膵臓がんが挙げられます。これらの診断は、従来非常に難しくて、治療が後手に回るケースがよく経験されます。これらのがんの診断には、造影剤を用いたヘリカルCTにより比較的早期の段階で診断がつきます。とりわけB型肝炎、C型肝炎ウイルスにより慢性肝炎、肝硬変に罹患されている患者さまは、定期的に造影剤を用いたヘリカルCTによる肝臓がんスクリーニングを行うことが大切です。
現在健康診断では、胸部レントゲン検査が肺がん検診に用いているのが実情です。肺がんは、ほかの癌にも言える事ですが、早期発見をすることが非常にその後の治療が円滑に行われ、患者さまの治療後の生活の質(QOL)を向上させることができます。 現在行われている胸部レントゲン検査は、早期がんの検出率が非常に悪いです。厚生労働省も結核の発生の非常に少なくなった現在におきまして健康診断で若年者や非喫煙者を含む全員の方に胸部レントゲンを施行するのは、余り好ましくないと進言しています。 喫煙者、近親者で肺がんの方がいらっしゃる高齢の方には、検出率の高い胸部ヘリカルCT検査および喀痰細胞診を受けて頂くことが大切だと考えられます。
大阪大医学部第二内科(現在内分泌代謝内科)では、1980年ぐらいからCT検査によって内臓肥満を測定しておりました。高血圧、糖尿病、高脂血症の3つの生活習慣病のうち二つを罹患されている方で、内臓肥満面積が100cuをこえる患者さまに対して、当時シンドローム X(または死の四重奏)と呼ばれ、減量を指導されていました。このような患者さまは、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患を罹患される頻度が非常に高いことが言われていたからです。現在言われておりますメタボリックシンドロームの診断および治療の先駆けであります。内臓肥満は皮下脂肪型肥満に比べて運動などによる減量が容易であります。 高血圧、糖尿病、高脂血症は、いずれも動脈硬化を加速させる疾患であり治療が必要な生活習慣病です。薬による治療も大切です。しかし内臓肥満は、皮下脂肪に比べて容易に運動食事により改善されます。内臓肥満の改善によりこれら生活習慣病がドミノ式に改善されることがよく経験されます。しかし改善されない場合は、これら高血圧、糖尿病、高脂血症が逆にドミノ式に悪化することもよく経験されます。これをメタボリックドミノと呼ばれています。 当院では、生活習慣病と言われている高血圧、糖尿病、高脂血症のうち二つ以上を罹患されている患者さまには、腹部CT検査による内臓肥満チェックをお勧めしています。 メタボリックシンドロームの分野は、現在、内科学の中で現在最も盛んに研究されている分野です。そのなかでCTでの内臓肥満面積の測定による診断と治療方針の決定は最も確立された検査項目であるといえます。